2019年10月10日木曜日

委員会視察2日目 広島県呉市へ 視察報告書

企画総務委員会 視察研修所感
視察先:広島県呉市 
日時:令和元年1010()午前10時~
担当:危機管理課

                                氏名:城内 志津
1、   テーマ

防災対策について


2、   目的

近年の気候変動の影響により、台風の大型化や集中豪雨により、自然災害は激しさを増している。刈谷市においては、市街化の進行などとあいまって、浸水、洪水、高潮などの災害リスクが高まっている。
平成307月豪雨災害により甚大な被害を受けた広島県呉市の、災害への対応や復旧、復興について学び、防災・減災の取り組みについて学ぶため。


3、   視察内容

◆災害から復旧までの経緯◆
≪平成307月豪雨について≫
  降雨は1週間にわたり続き、67日の二日間に降雨が集中。
  人的被害の発生 
死亡者28(内関連死3 重傷者5名  軽傷者17
※土石流による死亡者がほとんど
※過去50年間で最大の被害
  家屋・公共施設の被害状況
・家屋の被害状況(令和元年85日時点) 
全壊(324)大規模半壊(133)半壊(765)一部損壊(1,257)床下浸水(741) 計 3,220
・公共施設の被害状況(平成312月末)
公共施設(72施設) インフラ(941カ所)普 通財産(21施設)
  被災状況
・天応地区(土砂洪水氾濫・川がすべて土砂で埋まる・土石流)
・安浦地区(土石流、洪水、浸水、崖崩れ)
  交通網の被災状況(49道路が通行止め)

≪災害支援活動状況≫
   災害対策本部 7619時に設置
・方針の協議・決定する「災害対策本部会議
・そのための情報収集と方針の決定に対応する以下の「災害対策本部事務局
総括班(全てを総括)/復旧対策班(支援物資等)/応急対策班(避難所)
応急対策班(医療・救護等)/広報情報班(情報収集、提供)/復旧対策班(住宅、廃棄物)応急対策班(被災者救出)/孤立対策班(孤立集落)/自衛隊・県・警察・気象庁など
② 避難所の開設・運営
開設期間 76日~102(58日間)
開設数 134カ所、409世帯、1,418
支援内容 飲食物提供、寝具その他の生活必需品供与、入浴支援、健康管理 
※自衛隊による入浴支援は数日のみで撤収が早いので注意!
※公共施設の避難所はプライバシーを守るための段ボールの仕切りや、段ボールベッドが用意されているので、避難者の快適を守るための準備が進められていたことが分かる。
③被災者の救出
活動状況(76日~97)
救出人員508/出動人員14,638/ヘリ出動96/救助犬33/建設機械182
④孤立集落への対応
孤立集落14地区/世帯数 約14,000世帯/人口 約29,000
※瀬戸内海は干満差が4mと大きく、孤立した島々に物資支援の船を岸に寄せる際には、満潮のときしか実施できず、苦労した。
⑤給水支援
臨時給水所…市内60カ所
・広島県送水トンネル事故で広範囲な断水発生→712日復旧
・ポンプ損壊により川尻地区で断水長期化→82日にほぼ解消
※プールの水を生活用水として提供
⑥医療・保健等
・被災者への支援
→呉市医師会、日本赤十字社からの「医療救護班」
→市職員及び412市からの応援職員による「個別訪問相談」
・医療機関への支援
→給水(79日~12)※自衛隊、市職員、水道局給水車
→物資支援(710日~17)※ご飯21,200パック他備蓄はすぐに終わってしまった
・浸水家屋、敷地の消毒
→消毒液の配布、噴霧器の貸し出し、マスクの提供
⑦廃棄物及び土砂の撤去(平成31年度3月末時点)
・宅地内の堆積土砂及び瓦礫の撤去←約90%撤去完了
・損壊家屋の解体、撤去←約47%撤去完了
⑧り災証明書の発行(平成313月末時点)
受付開始 711
現地調査開始 714
証明書発行開始 717
証明書発行件数 6,415
※被災者の生活再建の第一歩につながる「り災証明書」は、1日最大82名体制で証明書の発行の迅速化を図った!
※被害が大きかった地区へは市職員が避難所や戸別訪問で、申請書の受付や調査を実施!
⑨住宅の支援(平成301112日最大時)
・応急仮設住宅の供与(最長2年間)
・被災住宅の応急修理(平成313月末時点)←約78%完了
⑩交通・渋滞対策への取り組み
・災害時緊急輸送船「キャットクルーズ」の運行
・通勤バスのクレアライン運行
⑪災害ボランティアによる支援
受け入れ開始 710日~
ボランティア派遣人数 38,949
※被害の大きかった地区に現地ボランテイアセンターセンター開設

≪復旧・復興状況≫
・「呉市災害復興本部(本部長:市長)応急対応から復興体制へ ※911日設置 
・「復興総室」復興推進の総合調整、運営 ※911日設置
・「呉市復興計画」の策定 ※平成313月策定 

◆まとめ◆

◎被災者への対応は、被害の差はあれど平等に、個々に対して進めていく必要
◎地区の復興計画は、住民の意見を聞いて策定
住民にアンケートを実施し、災害記録史としてまとめていく
◎住民による共助事例
★土石流により家屋が倒壊→地元自治会が重機を手配→近隣住民による瓦礫の撤去→無事被災者を救出 ※日頃から地元地区に重機や取り扱い者と連携あると良い
★土石流により家屋に土砂が流入→ご近所同士が助け合い避難→経路被災で近所の家屋に避難 ※日頃からの地域のつながり、顔の見える関係が大事

◆呉市概要◆

☆人口223,685人・世帯数110,204世帯・面積353.86
☆呉は明治22年に呉鎮守府が開庁し海軍の主要な基地として発展。終戦後、昭和297月海上自衛隊呉地方隊が新編。海上自衛隊とともに歴史を刻んできた自治体
議会図書館に司書配置で文部科学賞受賞


                                     
☆呉市公式キャラクター「呉氏」 誕生日は海の日 
 ☆議会だより「チーム議会 くれ」 が令和元年度中核市議会議長会総会において行われた第14回議会報コンクールにおいて,最優秀賞を受賞

☆呉海自カレーで売り上げupで地域活性化
☆平和行政として大和ミュージアム

映画「この世界の片隅に」のロケ地マップ作成し、まちの魅力を発信
大和ミュージアムのシンボル、全長26.3m。10分の1の「大和」
旧日本海軍が建造した世界最大の戦艦「大和」
昭和20年4月7日特攻作戦に参加して鹿児島県坊ノ岬沖で沈没。
設計図や写真、潜水調査水中映像をもとに可能な限り詳細に再現。
造船、製綱を始めとした科学技術を先人の努力や当時の生活に触れながら紹介。
大和乗組員の生存者の証言映像や改訂に沈む戦艦たちの潜水映像が展示。

4、   感想、成果

立地適正化計画が正しく策定され、遵守したまちづくりを
広島県は、花崗岩が風化してできた真砂山と呼ばれる砂が硬い岩盤の上に堆積した地形が多く、崩れやすい山を削って宅地を開発した歴史がある。
19996月 広島市内の新興住宅地で土砂崩れ 死者、行方不明者は32人。
20148月 市北部の安佐南、安佐北両地区で住宅地を土石流などが襲う 死者77人。
・土砂災害警戒区域は全国最多の約49500ヶ所。
※昭和20年の枕崎台風と同じところに被害があったとのことで、防災減災の専門家である名古屋大学教授の福和伸夫氏も述べているように、災害の歴史的観点からも立地適正化計画の策定をおこない、将来にわたって犠牲者を生み出さないよう、被害を大きくしないようなまちづくりが必要。

自主防災組織率アップと内容の充実を…
86%で平成26年度から取り組むが、内容が充実していなかったとリーダーたちが後悔したこと。刈谷市もまだ組織率がよくない

公助、共助、自助の強化
海からの被害は想定していたが、川の氾濫被害は想定していなかったので、公助・共助・自助のすべての要素がかみ合っていなくては被害が大きくなってしまうため、全ての側面においての準備が必要

義援金の使途
TV,冷蔵庫は支援の対象にならないため、義援金で支援をした

避難発令のタイミング
・大災害を経験した上で、これからはどのタイミングで警報を出していくのかというと問いに、あまり早くても不安を煽るため、これまでよりも0.5倍くらいの前の時点で出すよう考えているとの回答。
・城内としては、台風などの風水害にたいしては、気象庁からの予報もあるため、前日からの注意喚起の実施は必要。特に避難弱者に対して早めの備えのためと、犠牲者を一人も出さないためには、必要と考えている。
・呉市の伝達ツールは、メールか市内300カ所以上ある防災無線ということだが、この防災無線は反響して聞こえにくいものであり、屋内では雨音などで聞こえないとのことで、被災前との進展が見られないため、対応が遅れているといえる。
※刈谷市の防災ラジオは、非常に有効性のあるものであることを実感。刈谷市の防災ラジオ普及率10%。普及に努める。

刈谷市議会だよりの再考を!
・呉市の議会だより、サイズはA4で12ページ、情報量も入るし、文字も大きく、色彩あり、行間ゆとり有り、画像も多用してあるため、視覚的に読みやすい。
・刈谷市議会だよりは、タブロイド判で、ファイリングもしにくいし、写真等も少ないし、表紙で市民をつかむようなデザインとキャッチコピーはない。
※市民からは、市民だよりは読むが議会だよりは読まない、A4は今どき当然であり、でなければ情報量を入れられないだろうという意見が届いている。刈谷市も、市民が読みたいと思える視点に立つ議会だよりへの再考が必要。

議会改革を!
●議会図書館
・呉市の先進的なところは、司書を配置したこともそうだが、写真にあるように書籍の分野が専門書だけでなく、暮らしに関わってくるような一般図書も置いてあること。
・また、司書の写真の向こうに移っている部屋は、広島大学との連携事業で使用する会議室とのことで、 この日も大学の教授がお越しになってみえる。
・議会図書館の位置づけが、議員だけのものではなく、市民や地元の専門家に開かれたものになっており、そのため蔵書の豊富さにつながっているのではと思う。
・議会図書館には、長机もあり、資料等を広げてゆったり調査できる空間が保障されており、資料等を広げてゆったり調査できる空間が保障されている。
※刈谷市も議会事務局前の喫煙室廃止に伴い、議会図書館と談話室の改築が迫られている。呉市議会を参考にして、議会改革に努めてほしい。
ICT
・呉市、タブレット使用OK 何かと進んでいます。傍聴席にはガラス張りの親子席も設置!