2019年10月11日金曜日

委員会視察3日目 岡山県玉野市へ 視察報告書



企画総務委員会 視察研修所感
視察先:岡山県玉野市 
日時:令和元年1011日㈬午後115分~
担当:公共施設再編整備推進室

                                氏名:城内 志津

1、   テーマ

市有財産に関するサウンディング型市場調査の取り組みについて


2、   目的
ここ数年で全国的に増加傾向にあるサウンディング型市場調査(官民対話手法の一つであり、主に公共施設の整備・管理運営事業や公有財産活用事業において、事業検討の段階や事業者公募の前段階で、公募により民間事業者等と直接対話する場を設け、その意向やアイデア、ノウハウ等を把握し、よりよいサービスの提供や民間事業者から見てより参入しやすい公募条件等の設定等を行うための調査)について、刈谷市においても先進事例に学ぶ必要から。


3、視察内容 
  
●全国サウンディング調査実施数(日本PFIPPP調査より 201910.9現在)
・平成28年  69
・平成29年 166
・平成30年 236
・令和 元年 248

●玉野市 取り組みの背景
・平成2412月「公共施設白書」~平成292月「公共施設等総合管理計画」「行財政改革大綱」策定を行ってきたが、施設ごとに「廃止」「譲渡」の方針を決めてもなかなか進まなかった経緯から実施

●玉野市のサウンディング型市場性調査の特徴
①対象施設が多い(都市公園を含む20施設)
②提案内容に制限が少ない(ソフト事業も対象)
※サウンディングは特定事業に対しての実施が多いが、財政面で厳しいため、活用提案を広く集めようとしたので、公募する条件のハードルを下げた

●調査手法
・全国法人又は法人のクループを対象に、対話形式の聞き取りを通じて、可能性を幅広く把握し、市場性のある私有財産から優先的に検討を進め、公共施設の再編整備や地域の活性化につなげる。
・費用はすべて提案者が負担。
 可能性を調査するもので、施設の事業方針が決定し公募を行うが提案者の優位性はない。
・窓口は総合政策課に一本化
60分程度の意見交換
・実施後、提案者のアンケート実施

●提案実績
・平成29.7法人 
・平成30.1法人

●調査結果のまとめ
・人口6万人規模でも収益が見込める事業がある
・施設所有に伴う管理コスト増を嫌い賃貸借を望む傾向が強い
・公共施設の立地は良いが、建物の規模が大きすぎる
・利用可能かどうかの判断に、耐震性の有無を重視する
・検討段階から意見・提案できることを有益と感じている

●サウンディング調査後の状況
◎みやま公園:Park₋PFI事業者を公募
◎日の出公園:平成304月から民間事業者が維持管理を受託→公園がきれいに!
◎旧成果卸売市場、旧オアシス作業所←売却へ
◎渋川公園売店(王子が岳Parkセンター):事業者を募集
 →個人の方からカフェをやりたい申し出。サウンディングで応募者がいなかったため観光協会の管理で、店主を雇用する形にして、カフェ開業。穴場スポットで人気店に!

●今後の課題と展開
・民間企業のサウンディング疲れが見られるため、随意契約保障型(民間の提案が良いとした時点で契約する手法)のサウンディング調査の手法を検討
・活用が見込めなく資産価値が低い土地や建物の処分がマイナス入札になってしまう

4、感想、成果

提案事業者の実施料の保障を・・・
玉野市が今回採用したマーケットサウンディング型の手法は、費用の全てを提案者が負担であり必ずしも契約に結び付くものでないことから、民間のロイヤリティが保障されないため、官民対話といっても、官の優位性が高いのではないかと思われ、導入しがたい面がある。

導入可能なサウンディング調査
サウンディング調査の他の2つの手法、「提案型インセンティブ付与型(提案が採択された場合に加点し提案意欲につなげる)」「随意契約保障型」は、それぞれの特性による留意点をもって運営するのであれば、民間側のロイヤリティが多少なりとも保障される可能性が高いので、検討の余地はあると思う。

参考にすべき意見
提案事業者へのアンケートで、どんな情報が公開されると事業参入しやすいかとの設問に対して、「異業種とにマッチンングによる事業提案が可能であれば」「個別物件に関する市の方針、将来像、スケジュール」「市の方向性が絞り込まれた段階で、目的別に物件を集約、公開すると参入可否が判断しやすい」とあり、導入の際には参考になる指摘。

対象者も検討
サウンディング調査の目的が、提案を待つのではなく求めるという性質のものであれば、提案対象者を個人に広げてみても、新たな発想、おもしろみが出てくるのではと思った。個人に広げると提案者が多数となり面接は難しくなる場合は、書類選考で厳選した上で面接実施という方法でも良いかと考える。

住民が主役に
全国を対象とした時に、その提案が、地域住民のニーズに合うものなのか、住民の声も集めた上での公募にする必要がある。随意契約保障型であれば、事業者の提案を募集する前に、住民の声を集めておく必要がある。

玉野市が実施している公共施設等の不要物品販売について
楽器、体育器具、食器等の1,100点を46万円で販売し、市内外から約800人が来場ということで、興味深い。過去の災害により今もなお支援の足りていないところがある。そういった団体や、また災害の多くなってきたことからその時点での被災地への支援金のために実施してはどうかと思う。


◎玉野市は、国際的にも支持を集めている「瀬戸内海国際芸術祭」の参加自治体であり、駅前には目を引くオブジェが展示されている。この日も駅には外国人観光客が多くみられる。玉野市観光ガイドの冊子、観光地だけでなく、地域住民にスポットを当てた内容が豊富であり、スタジオジプリの高畑監督の映画「となりの山田くん」の原作者の漫画家「いしいひさいち氏」の出身地ということで、ほのぼのした氏のマンガのイメージと玉野市もイメージが合致していて、温かさを感じるまちである。刈谷市の魅力発信事業においても、地域住民にスポットを当てるような発信や地元アーティストとのコラボを感じられるようなPR冊子であると良いのに!と改めて感じる。